「中村俊輔」選手って、皆さんもご存知ですよね。
サッカーの日本代表メンバーを経験し、スペインリーグのエスパニョールに移籍。
その後日本に戻り、横浜F・マリノスに所属されている有名なサッカー選手です。
私は、以前、サッカーJ1リーグの「あるチーム」のコンサルティングを行った関係で、サッカー関係者の方々とお話する機会が増えました。
先日、その中でも特に親しくさせていただいている方と、会食しました。
その方は、以前はJ1チームの監督を経験されたこともあり、サッカーに対する愛情はもちろん、奥深い人間的魅力の持ち主です。
まだプロになる前の中村俊輔選手を直接指導されたこともある方なのです。
そんな会食のテーマは、「サッカー」そして「人材育成」に関することでした。
その中で、上記の中村俊輔選手に関する非常に興味深い話をお聞きしました。
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話は少し逸れますが、今、このコラムをご覧になっている方々の中で、中村俊輔選手が2008年5月に出版された「察知力」(幻冬舎)という書籍をお読みになった方はいらっしゃいますか?
私は、「サッカーについて書かれた本を読んでも、あまり意味がわからないだろうな…」とあまり期待しないで拝読したのですが、「何とも言えない感動」を覚えました。
サッカーのみならず、ビジネスパーソンにも十分に適用できる考え方に溢れている良書だと思います。
何だか、ビジネスパーソンのハイパフォーマーにインタビューしているような感覚さえしました。
お勧めの一冊です。
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それはさておき、本題に戻ります。
中村俊輔選手は、小さい頃、きゃしゃな体で背も低かったため、コンプレックスを持ちながら、人一倍練習していたようです。
これは、一流のプロ選手となった現在でも自分に満足したり達成感を感じたりすることなく、多くのことを貪欲に吸収しながら成長を続けているようです。
そして何より特筆すべきことは、彼は自分の成長のために、周囲からのアドバイスを積極的に聞き入れていたということです。
普通、一流のプロ選手ともなると、自信(プライド)が大きくなってくるために、他者からアドバイスされることは、あまり好ましく思わない人が増えてきます。
ここで実名は出せませんが、有名なプロ選手は、他者からアドバイスされることをあまり嬉しく思わず、真剣に耳を傾けるようなことはしない。
全体的にそんな傾向があるそうです。
これは、ビジネスの世界でも全く同じかもしれません。
高い業績を上げている組織マネージャーが、「あなたのマネジメントの欠点は××××なので、その点を□□□□に変えたほうが良いですよ!」と、低い業績しか上げられない別の組織マネージャーからアドバイスされたら、いくら客観的には正しい内容であったとしても、素直に心から喜んで聞き入れる方は少ないでしょう。
ところが、中村俊輔選手は、相手が誰であろうと、自分にとって役立つ情報やアドバイスは、積極的に聞き入れていたようです。
特に、自分のプレーが、客観的にどうであったのかについて知りたがるのだそうです。
そのため、自分がプレーした試合のビデオを何度も何度も確認し、自分の現状プレーを確認・自己理解し、次に向けた改善点を見つけていくのだそうです。
周囲からのフィードバックを積極的に受けたり、自分のプレーをビデオで確認したりして、自分を客観視することで、新たな改善点を見つけ出し、そして高いレベルへと改善していく。
彼は、上記の著書「察知力」の中で、以下のように書いています。
「自分のことを知らないと成長はできない。
足りないことを認知して、これを補うために工夫すること。
今与えられた環境のなかで、何をすべきかを察知できない選手は激しい競争のなかでは生き残れない。」
他者から多くのフィードバックを受け、自分の現状を客観的に理解すること。
まさに、「360度サーベイのフィードバックを活用した自己理解」と全く同じことを彼は言っています。
彼が、ビジネスの世界の人であったなら、360度サーベイのフィードバックを取り入れた能力開発を率先し、サッカーと同様にハイパフォーマーになっていくのだろうな…。
そう感じてしまった私なのでした。