ファーストリテイリングの柳井社長が2003年に執筆された「一勝九敗」。
出版当時、仲良くしていただいていた先輩がファーストリテイリング社で活躍されていらっしゃったこともあり、礼儀(義理:笑)で、ざっと目を通したのですが、そのまま本棚にしまいこんでいました。
出版から約7年。
現在のファーストリテイリング社の躍進の原点を確かめてみたい…
そんな気持ちで、先日改めて拝読してみました。
徹底、厳しい、本気、行動力、そして強い信念…成功者であるだけに、圧倒的な迫力と説得力でした。
経営、マーケティングのみならず、人事評価など感じることは沢山ありました。
中でも個人的に最も注目したのは、「あとがき」に書かれている一節です。
少し長いですが、大事なことが含まれている内容です。
ぜひご一読ください。
※原文をそのまま引用させていただきました。
柳井社長は、“「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来、経営者に必要な資質”と書かれていますが、それに対して2つ感じることがありました。ぼくは、わがままで欠点の多い人間だとは思うが、「自分自身を客観的に分析・評価できる」という長所を持っている。
以前、当社の役員と部長全員で360度評価というものをやってみた。
自分自身の能力について、自己評価したものと周囲の人たちに評価してもらったものを比較する。
ぼくの結果は、両者が「ほとんど同じ」だった。
ぼく以外の人たちは、自己評価と他者評価がそうとう乖離していた。
ぼくは自信過剰になることもないかわりに、卑下することもないよう性格のようだ。
ぼくが従来の経営者タイプと違うように見られるとすれば、この点が大きいかもしれない。
別に自慢したくて述べたわけではない。
この「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来、経営者に必要な資質なのではないか、と思うからだ。
何度も言うが、当社は今まで、失敗を繰り返しながら成長してきた。
考えて実行して、失敗したら引き返し、また挑戦する。
失敗を失敗と認めるのは、自分の行動結果を客観的に分析・評価することができないと難しい。
失敗を失敗と認めずにいると、だらだら続けて傷口が広がってしまう。
無駄なことだ。
1つは、「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは、経営者のみならず、組織をマネジメントするリーダーであれば身につけていくべき要件であること。
更に言えば、経営者や組織をマネジメントするリーダーへ成長させるために必須であるということです。
もう1つは、柳井社長は“資質”と書かれていますが、それは“資質=生来持っているポテンシャル”ではなく、努力や機会などによって、後天的に身につけることができる“スキル”といったことではないかということです。
そしてこのスキル。
出来るだけ早い段階から、「自分自身を客観的に分析・評価できる」機会を設けることが重要だと感じます。
組織をマネジメントするリーダーが及ぼす影響は大きいです。
リーダーのマネジメントの仕方によって、組織は良くもなり悪くもなります。
360度評価を活用してリーダーに気づきを与え、成長を支援してあげて欲しい。
少しでも早い段階に…。私は強くそう感じます。
改めて、本気の経営者の方から学ばせていただきました。