毎年、8〜9月頃に日経新聞社から発表される「働きやすい会社」ランキング。
2010年の調査結果が9月21日の日経産業新聞などに掲載されました。
この調査は、「企業の自己申告回答」と「ビジネスパーソンの回答」といった2つの側面からの回答を集計するものです。
今回、最終的に回答した企業は478社、ビジネスパーソンは2343人。
対象となっている企業は、上場かつ連結従業員2000名以上、日経株価指数300銘柄300社とそれらに準じる有力企業1568社だそうです。
顔ぶれを見ると、ほとんどが大企業といった感じですね。
で、今年の1位は、ソニーでした。
この結果には賛否両論ありそうですが、研修制度の拡充など人材育成を強化している点が評価され、昨年13位から躍進されています。
ちなみに、評価は以下の4点によって行われています。
社員の意欲を向上させる制度人材の採用・育成と評価働く側に配慮した職場づくり子育てに配慮した職場づくりこのランキングは、調査内容、調査結果ともに示唆に富んでおり、中身をじっくり拝見していると、「働きやすい会社って何だろう?」ということをより深く考えさせられます。
個人的に注目していることは、「2.人材の採用・育成と評価」です。
その内訳の質問項目は、
- 「360度評価の有無」
- 「人事考課の評価基準の公開」
- 「人事考課の本人への伝達」
- 「人事考課の結果に対する不満を相談できる仕組みや反論機会の有無」
ここで冷静に考えてみましょう。
「働きやすい会社」の質問項目の中に、「360度評価の有無」が入っているのです。
このことは、とても注目すべきだと考えます。
ちなみに、これらの質問項目は毎年見直しされ、質問の入れ替えがあるのですが、この「360度評価の有無」に関する質問は、少なくとも2004年度から絶えることなく毎年質問項目として設定され続けています。
それどころか、2004年の調査においては、この「360度評価の有無」。
「ビジネスマンが重視している項目」の重視度ランキングにおいて、約50個設定されている質問の中で、第19位にランキングされているのです。
「360度評価」は、対象者に気づきを与えて行動改善・能力開発を促す仕組み。
特に管理職にとっては、適切な部下マネジメントを促し、「働きやすい職場」づくりを支援する仕組みであると言えるでしょう。
また、良い取り組みを行なっている人をきちんと評価してあげることもでき、安心感(働きやすさ)を提供してあげることができる仕組みであるとも言えます。
ちなみに、この調査によると「360度評価を導入している」と回答した企業は、25.5%。
昨年は25.0%、一昨年は28.1%となっていることから、大企業における360度評価の導入率は約25%程度と言えることがわかります。
4社に1社導入しているという感じです。
しかしながら、アメリカの大手企業の導入率と比較すると1/3以下です。
日本ではまだまだ導入が進んでいません。
そして何より、個人的に気になっているのは、既に導入されている企業で、360度評価の本来の機能が十分に活かされているのかということです。
つまり、「働きやすい会社」のために役立っているかどうかということです。
多くの会社の導入事例を聞いていると、大丈夫かな…と首を傾げることがあります。
単に導入するだけでなく、本当に「働きやすい会社」をつくるためにも、もっともっと有効活用していただくことを願うばかりです。
そのためにも、弊社が持っている様々な支援策をもっと多くの企業で活用していただけるように広めていかなければ…と、新たに誓う私なのでした。